きのう新規のお客様が来店した。
雨が激しく降っていたせいでもあるが、髪の毛のボリュームがバルデラマのように大きく、BarBarの私でも驚いたほどである。
カウンセリングをしてみると、
高校生からずっと定期的に縮毛矯正をしてきたのだけど、違うヘアスタイルにしたいという。
バルデラマ級の強い癖毛は、彼にとって一生付き纏う厄介なものでしかなかった。
今までは、その強いコンプレックスを隠す為に、高いお金をかけて縮毛矯正をして憧れのストレートヘアに変身していたのだ。
私は彼にふたつの質問をした。
かなりイメージチェンジしても良いか?
スタイリング剤を付ける手間を惜しまないか?
彼はイエスと答えた。
「今までずっとこの髪の毛のクセ毛が、嫌で嫌で仕方なかったと思うけど、今日からはこの髪の毛も悪くない、自分らしくて好きになるようなヘアスタイルにしてみせるよ」
と私は彼に言った。
彼は、不安と期待が入り混じった表情を浮かべながら、お願いしますと力強く答えた。
私は彼のコンプレックスである髪の癖を最大限に活かしてカットした。
カットを終えて、スタイリング剤をつけてセットした。
彼は何度も鏡を覗き込み、驚いた表情をしていた。
「どお?気に入った?俺はかなり似合って居ると思うし、今まで縮毛矯正して隠してた癖毛だけど、癖毛を活かしたらこんなにイカした髪型になったね」
彼はそのヘアスタイルがかなり気に入った模様で、帰ったらすぐに、写メ撮って彼女にLINEしますと言って嬉しそうに帰っていった。
コンプレックスは考え方ひとつで、自分らしい魅力的な個性に変わるものだと、私は改めて実感した。
新規のお客様だったので今回写真を撮らせてもらっていなかったが、もしまた来店してくれたら、彼の写真を撮らせてもらうお願いをしてみよう。